ペットの皮膚疾患〜内分泌系〜

皮膚疾患の主な原因は以下があげられます。

本章では内分泌異常に由来するの皮膚疾患について取り上げます。

・感染 :細菌(膿皮症 etc…)、真菌(マラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症 etc…)、寄生虫(疥癬、耳疥癬 etc…)

・刺激 :紫外線、暖房機器による低温やけど

・内分泌異常 :甲状腺機能低下症副腎皮質機能低下症エストロゲン過剰症

・免疫異常 :アレルギー疾患、自己免疫性疾患(天疱瘡

・遺伝 :肉芽腫性脂腺炎、家族性皮膚筋炎、毛周期停止(脱毛症 X)、亜鉛反応性皮膚炎

・腫瘍 :表皮、毛包、毛包付属器、真皮、皮下組織、血液

・代謝異常 :黄色脂肪腫、代謝性上皮壊死症、亜鉛反応性皮膚炎、

・行動異常 :舐性皮膚炎、心因性脱毛

 

 

そもそも内分泌とは、、、?

下垂体、松果体、甲状腺、上皮小体、副腎(皮質、髄質)、膵臓、卵巣・胎盤、精巣などのホルンモン分泌器官。

ホルモンとは情報伝達物質で上記の分泌器官から全身に分泌される。

※ホルモンの詳細は別途記事を書く予定、、、

 

・下垂体

・大脳と脳幹の境目にある小さな器官

・全身のホルモン分泌を調節している(調整するホルモンの分泌)

・成長ホルモンや抗利尿ホルモンを分泌する

・松果体

メラトニンの産生・分泌

・甲状腺

第2〜第3気管軟骨の側面に位置している。下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって制御されており、3種類のホルモン(サイロキシン(T4)、トリヨードサイロニン(T3)、カルシトニン)を産生分泌する。

・上皮小体(副甲状腺)

・甲状腺

1対あり、各腎臓の頭側部に位置し、皮質と髄質がある。

副腎皮質ホルモン ・・・ アルドステロン、コルチゾールなど、、、

副腎髄質ホルモン ・・・ カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)など、、、

 

 

 

 

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンであるサイロキシントリヨードサイロニンの産生分泌が減少し機能不全を起こす。イヌに多くネコでは稀。

イヌの甲状腺機能低下症の多くは後天性で、臨床例の95%以上は原発性甲状腺機能低下症で、二次性(下垂体性)甲状腺機能低下症、三次性(視床下部性)甲状腺機能低下症がある。原発性甲状腺機能低下症にはリンパ球性甲状腺炎と特発性甲状腺萎縮などがある。

発症年齢 3〜8才

好発犬種 

ゴールデンレトリバー、ビーグル、ドーベルマン、ボルゾイ、アイリッシュセター、エアデールテリア、グレートデン

症状

<皮膚>

乾燥、光沢の喪失、脆弱な被毛、脂っぽい皮膚、鼻梁・尾および摩擦部の脱毛悲しそうな顔

<皮膚以外>

無気力、体重増加、徐脈、不妊症、無発情

治療

レボチロシン(合成ホルモン)

副腎皮質機能亢進症

副腎皮質から過剰分泌されるコルチゾールによってさまざまな臨床症状および臨床検上の異常を示す病態の総称でクッシング症候群とも呼ばれている。

下垂体性、副腎腫瘍性、医原性に大別され、下垂体依存性が全体の80%を占める。

下垂体依存性副腎皮質機能亢進症は下垂体に発生した腺腫(通常良性)が副腎皮質ホルモン(ACTH)を過剰に分泌することにより副腎機能亢進を示す。

副腎腫瘍性副腎皮質機能亢進症は副腎皮質に発生した腺腫が自律性にコルチゾールを分泌する病態で15〜20%を占める。

医原性副腎皮質機能亢進症(医原性クッシング症候群)は長期間または高用量のグルココルチコイド製剤投与に起因する。

症状

<皮膚>

左右対称性脱毛腹部膨満菲薄化、面ぽう(ニキビ)、色素沈着、石灰沈着

<皮膚以外>

多飲多尿多食、沈鬱、肝腫大、筋肉虚弱、肥満、パンティング(浅く速い呼吸)、神経症状、糖尿病、膵炎、肺血栓塞栓症、感染(皮膚感染、膀胱炎など)、全身性高血圧症などを続発する。

治療

ミトタン、トリロスタンの経口投与

外科療法(片側性副腎腫瘍)

エストロジェン過剰症

雌性ホルモンを産生する臓器の腫瘍や雌性ホルモンの過剰な投与により、体内の雌性ホルモン量が異常に多くなり皮膚症状が現れたもの。卵巣腫瘍精巣腫瘍が原因となることが多い。

中高年以降のイヌで多く発生する。

症状

♀:体幹の左右対象性の脱毛(外陰部から始まる)、脱毛部の色素沈着、外陰部や乳房の腫脹、発情不順、持続する偽妊娠など

♂:潜在精巣から精巣腫瘍になることが多いため、陰嚢内に精巣が2つないことが多い。体幹の左右対象性の脱毛(会陰部や生殖器からはじまる)、脱毛部の色素沈着、乳房の腫脹、他のオスイヌへの発情行為など

治療

腫瘍が原因の場合、腫瘍を外科的に摘出する(去勢や避妊手術)

雌性ホルモンの過剰投与であれば投与を中止する。

天疱瘡

表皮細胞もしくは粘膜上皮細胞の結合タンパクを抗原とする自己免疫性疾患

原因

表皮細胞や粘膜上皮細胞は細胞同士がデスモソームと呼ばれる接着構造によって接着され、細胞の形態と大きさ、表皮の強度が維持されている。自己抗体がデスモソームのタンパクと結合することによって角質細胞間の結合が障害されることにより水疱膿疱びらんなどを呈す。

症状

イヌでは落葉性天疱瘡の方が尋常性天疱瘡よりも圧倒的に発症率が高い。

落葉性天疱瘡の特徴的な症状は膿疱で、その後痂皮やびらんへと変化していく。発熱や元気消失、リンパ節腫脹、掻痒が認められることもある。

尋常性天疱瘡では口腔粘膜や粘膜皮膚境界部に見られる水疱が特徴的である。水疱は形成後、すぐにびらんや潰瘍へと変化してしまうことが多い。粘膜以外に皮膚や肉球、爪床、陰嚢などに認められることがある。

ネコはイヌと比較すると発生率は少なく、そのほとんどが落葉性天疱瘡である。膿疱は少なく圧倒的に痂皮病変が多い。また爪床の病変や様々な程度の掻痒が特徴的。

治療

根治療法はなく、対症療法として抗炎症あるいは免疫抑制療法を行う。

免疫抑制剤は遅効性なので、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を併用する。

・副腎皮質ホルモン・・・プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチソン

・免疫抑制剤・・・アザチオプリン、シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル

など

 

 

 

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