Zoonosis 〜第7章 鳥インフルエンザ・SARS・カンピロバクター腸炎〜

この章では,ニュースなどでよく耳にする鳥インフルエンザやSARS(重症急性呼吸器症候群などについて書きます.

鳥インフルエンザとは...

インフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患.ヒトの場合,38度以上の発熱,頭痛,筋肉痛,関節痛,全身の倦怠感などの症状が現れる.その後発咳,鼻汁などの上気道炎症症状が続き約1週間で軽快する.

 

インフルエンザウイルスとは...

オクトミクソウイルス科のウイルスで,直径約100nmの球形でエンベロープを持つ.抗原種により3種類に大別される.

★A型Zoonosisである.変異しやすい./ 毎年流行./ 多くの亜型が存在 / 亜型がさらに多くの株を持つ / 症状が重い / ヒト・鳥・豚などに感染する.

●B型:変異しにくい. / 散発的に小流行./ 亜型は存在しない./ 症状は重い./ ヒトのみ感染.

●C型:変異しにくい./ 大きな流行はない./ 亜型は存在しない./ 症状は軽い./ ヒトのみ感染.

※「亜型」や「株」による違いとは...

ウイルスの表面にヘマグルチニンとノイラミニダーゼの2種類の突起によって多くの「亜型」や「株」が存在する. >> wikipedia/インフルエンザウイルス/亜型と株
※変異とは...

生体内で単独のウイルスが変化したり,複数の型のウイルスが同時に感染して混じり合うことにより遺伝子レベルの構造を変化させるため起きる.これによって「亜型」や「株」が発生する.


A型インフルエンザウイルスとは...

水禽(主にカモ)が自然宿主でヒトを含む哺乳類や他の動物種に感染して定着する.

A型インフルエンザは16種類のヘマグルチニンと9種類のノイラミニダーゼによって「亜型」と「株」が作られる.H○N△型のインフルエンザという表現はこのヘマグルチニンとノイラミニダーゼから来ている.

 

鳥インフルエンザとは...

主に家禽(鶏やシチメンチョウ)が鳥類に感染するA型インフルエンザに感染して起きる病気.

特に鶏に対する病原性が高いH5N1型やH7N9型を「高病原性鳥インフルエンザ」と分類し,2 類感染症に指定している.

※各機関による法令など

農林水産省...家畜伝染病予防法

OIE(国際獣疫事務局)...Terrestrial Animal Health code2011

厚生労働省...感染症法

SARS(重症急性呼吸器症候群)とは...

・二類感染症に分類される.

・2002年11月16日に中国広東省仏山市での最初の報告から北京,香港など世界中に拡大した.2003年に台湾での症例を最後に世界的流行の終息が宣言され,この期間に8098人が感染し,そのうち774人がした.

※この記事を書いている2020年2月には新型コロナウイルスによる新型肺炎が世界的に流行しており,すでに4万人以上が感染し1000人以上の死者が確認されている.

・病原体

ニドウイルス目コロナウイルス科コロナウイルス属(SARSコロナウイルス).もともとはキクガシラコウモリを自然宿主とするコロナウイルスであったが,ハクビシンを経由してヒトに感染することで肺炎を引き起こすウイルスに変異した.

ハクビシンタヌキイタチアナグマからSARSコロナウイルスに類似したウイルスが分離されたため,輸入禁止動物に指定された.

※イタチアナグマは台湾での狂犬病が確認された.

・症状

・38度以上の発熱

・発咳,息切れ,呼吸困難,頭痛,悪寒,倦怠感などのインフルエンザ様症状

・下痢

・感染経路

ヒト-ヒト感染

飛沫感染が中心と考えられているが,接触感染,排泄物からの経口感染,空気感染なども疑われている.

・予防,治療

SARSに有効な治療薬,ワクチンはない

 

カンピロバクター腸炎とは...

・カンピロバクターの感染によって起きる.

・食中毒の原因としてはノロウイルスに次いで多い.

・回復後にギランバレー症候群を引き起こすことで知られている. >> wikipedia/ギランバレー症候群

・病原体

・カンピロバクター属菌は17種類確認されている.

・グラム陰性らせん菌

・牛,豚,鶏などの家畜や犬や猫,野生動物などの腸管内に広く分布している.増殖至適温度は約42度で,鳥の体内で増殖しやすい(鳥は体温が高い).

・症状

・下痢,腹痛,発熱,悪心,嘔吐,頭痛などが主な症状

・重症化は稀

・米国では1000人に一人の割合でギランバレー症候群を発症し,またギランバレー症候の40%がカンピロバクターの感染が原因.

・感染経路

・カンピロバクターは動物の消化管に広く存在しているので,様々な食肉や食品から検出される.

・特に鶏肉から高率で検出される.牛のレバーも.

・食肉の生食や加熱不足が原因.

・手指を介した二次感染

・予防

・動物の衛生環境の整備.

・食品の汚染防止.

・食肉の生食を控える.

・二次汚染の防止.

→ Zoonosis -人獣共通感染症- 第8章

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