Zoonosis 〜第6章 ダニ媒介性疾患〜

この章では,SFTSやライム病などのダニによって媒介される人獣共通感染症について書きます.

 

マダニ...

ダニの中でも吸血するマダニは多くの感染症を媒介することで知られています.マダニは吸血と脱皮を繰り返しながら成長します.常に動物の体表にいるわけではなく,血を吸い終わったら草むらなどに潜んで脱皮したり,産卵したり,次の動物を待ったりしています.

 

ウイルス性ダニ媒介性疾患...

・ダニ媒介性脳炎

・四類感染症

・フラビウイルス科−フラビウイルス属−ダニ媒介性脳炎ウイルス

・ウイルス保有マダニによる刺咬,感染ヒツジ・ヤギ等の未殺菌乳

.ヒトでは中央ヨーロッパ型とロシア春夏型があり,髄膜脳炎に進展することがある.ロシア型は致死率30%と高い.

 

・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

・四類感染症

・ブニヤウイルス科−フレボウイルス属−SFTSウイルス

・ウイルス保有マダニによる刺咬,患者血液との直接接触(中国)

・発熱,消化器症状(食欲低下,吐き気,嘔吐,下痢,腹痛)

・PLT減少,WBC減少,低Na血症,低Ca血症,ALT・AST・LDH・CKの上昇,タンパク尿,血尿...

 

細菌性ダニ媒介性疾患...

・野兎病

・四類感染症

・Francisella tularensis

・蚊・アブ・マダニ類によって媒介

・保菌媒介動物による刺咬

・感染動物(うさぎ,げっ歯類)との接触

・汚染された食物

・塵埃の経口吸入

・ヒトでは発熱,頭痛,筋肉痛,リンパ節の腫脹,感染部位の潰瘍.

うさぎ,げっ歯類の感受性が高い.家畜ではヒツジの感受性が高い.発熱,膿瘍,リンパ節腫大などがみられる.

 

・ライム病

・四類感染症

・Borrelia Burgdorferi, Borrelia garinii, Borrelia afzelii

・ボレリア保有のマダニによる刺咬により感染.

・ヒトでは,症状を3期に分類することができ,

[1期] 遊走性紅斑,筋肉痛,関節痛,発熱,倦怠感

[2期] 多発性遊走性紅斑,神経炎,心筋炎,関節炎

[3期] 慢性関節炎,慢性萎縮性肢端皮膚炎,慢性疲労

・イヌでは関節炎を高頻度で発症

・ネコでは多発性遊走性紅斑,神経炎,心筋炎,関節炎

 

リケッチア性ダニ媒介性疾患...

リケッチアとは...?

細菌よりも小さくウイルスよりも大きい微生物の総称.ダニなどの節足動物が媒介しリケッチア症を引き起こす.グラム陰性.ウイルス同様,細胞外で増殖できない.

・Q熱

・四類感染症

・コクシエラ保有のマダニによる刺咬,ウシ・ヒツジ・ヤギなどの家畜,ネコの出産時の塵埃や排泄物などの吸入

・ヒトでの症状は急性と慢性があり,急性ではインフルエンザ様症状を示し,80%は肝機能以上を示す.慢性では,心内膜症,骨髄炎,肝炎

・動物では多くが不顕性

 

・日本紅斑熱

・四類感染症

・Rickettsia japonica

・リケッチア保有マダニによる刺咬

・マダニとの接触2〜8日後の高熱(39〜40℃)と発疹が主要症状.手足,手掌,顔面などに発疹,掻痒.

・好中球,CRP,肝酵素上昇.

 

・ツツガムシ病

・四類感染症

・Orientia tsutsugamushi

・リケッチア保有ツツガムシによる刺咬.

・ツツガムシは一生に一度だけ哺乳類の体液を吸う.

・ヒトでは,刺咬7日〜10日後,発熱,頭痛,倦怠感,リンパ節腫大,発疹.

・発疹は日本紅斑熱より淡く,体幹部に多い

 

 

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